1.
この家は 六人家族で 毎日が賑やかだったね
見渡せば 女房と俺と 晩秋の風の中に立つ
ほどほどに親孝行したはずが
二人が 逝ってしまって今思う
もしかして 数々の あーあーっ!親不孝
お袋の 紅い半纏を 肩に掛け冷酒を呑めば
あの頃の 親父みたいだよ 呑んだくれの俺がここにいる
2.
二階には 落書きだらけの 子供部屋時が止まってる
得意げな 悪戯小僧の あの時の白い野球帽
親として 男として振り省る
光陰 矢の如しと言うけれど
それなりに 楽しくて あーあーっ! 悔いは無い
上の娘は 四年で帰ると 憧れの東京へ行った
それっきり 帰ってはこない そのまんま嫁に行っちゃった
*
この部屋は 沈む夕陽眩しくて
小熊の 縫いぐるみは色褪せて
寂しげな 横顔が あーあーっ! 愛しくて
この家は 六人家族で 毎日が賑やかだったね
見渡せば 女房と俺と 晩秋の風の中に立つ